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桐蔭学園中等教育学校(2019年度より男女共学化)

神奈川県横浜市中学受験編入

自ら考え判断し行動できる力を育成する

桐蔭学園中等教育学校 学校訪問レポート

海外生活と本帰国後の日本での生活

Question こんにちは。それではまず、海外経験について教えてもらおうと思います。R.Iさんは5年間、ドイツのデュッセルドルフのインターナショナルスクールに通っていたのですね。インターでは自己主張の強い子が多かったようですが、学校生活はどうでしたか?

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R.I そもそも、ドイツに住むまで日本人以外と関わることがなかったので、周りが外国人の子どもばかりということに緊張しました。さらに、インターのクラスメイトが周りに臆することなく「僕がやりたい!」「それは違う」と、はっきり意見を言うことに、とても驚きました。
もともと僕は周りに意見を合わせる、引っ込み思案なタイプで…。しかし、学校で見た目も自己主張の方法も違うクラスメイトと関わる中で、少しずつ自分の意見が言えるようになっていきました。今では結構はっきり物を言うので、ちょっと強くなりすぎたかもしれませんね(笑)。

Question 鍛えられましたね(笑)。言葉の問題はどうでしたか。英語の授業だけではなくドイツ語もあったのかな?

R.I 最初は周りが何を話しているのか全くわかりませんでした。授業はメインが英語で、時々ドイツ語という形だったので、両方の言語の宿題をこなすことがとても大変でした。母と二人三脚で辞書を片手に文章を読んで、ひたすら単語を覚えていく、そんな毎日でしたね。そうして少しずつ環境や言語に慣れていき、現地の友達もでき、気づいたら5年が経っていました。

Question  頑張りましたね。それではS.Oさんにも聞いていきましょう。S.Oさんは年長さんから小学4年生まで、アメリカのミシガン州で暮らしていたのですね。冬は寒そうですが、ミシガン州の暮らしで楽しかったことを教えてください。

S.O ご想像の通り冬は雪が多くて、過ごすのが大変でした。ただ、日常生活としてはご近所さんがとてもフレンドリーな方が多かったので、楽しく交流したことを覚えています。

Question  アメリカならではですね。言葉の問題はどうでしたか?周りの子が言っていることを理解し、自分の気持ちも言葉で表現できるようになったのはいつ頃からでしたか?

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S.O アメリカで暮らし始めたのは年長の時だったので、アルファベットはもとより、自分の名前も英語で何と伝えればいいのかわからない状態でした。ただ、やはり子どもだったので覚えが早く、1年くらいで環境や言葉に慣れることができました。
また周りには日本から親の仕事の都合で引っ越してきた、私と同じ環境の子が比較的多く、心強かったですね。

Question 数年はESL(English as a Second Language)クラスに入っていたのかな?

S.O はい、そうです。現地校に通ったので、最初はESLで英語力を補強しつつ、途中から他のクラスメイトと一緒の授業に移行していきました。

Question それではR.Iさん、本帰国後のことを少し聞きたいと思います。小学5年生の夏に日本に戻ってきて、公立の小学校に通ったのですか?

R.I はい、そうです。

Question デュッセルドルフのインター校と、日本の公立の小学校ではだいぶ雰囲気が違うと思いますが、日本の公立小学校はどうでしたか?すぐに慣れましたか?

R.I 最初だけですが、ギャップは感じましたね。先ほども話したように、ドイツの小学生の自己主張の強さが、日本人とは桁違いなんです。そうした環境で5年間過ごしたので、日本の小学校に戻ってみると昔の僕のような受け身の子達ばかりで驚きました。もちろん全員ではないのですが、全体的に物静かな子が多いですよね。

Question ドイツに行った時と同じように、日本に戻った時も最初は慣れるのに大変でしたね。ところで、英検などの資格試験は受けたことありますか?

R.I はい。ドイツに引っ越してから、3級と準2級を現地で受験し、最終的には小学生のうちに2級まで取得しました。

Question 英検2級ですか。素晴らしいです。それではS.Oさんにも本帰国後のことを聞きましょう。小学4年生の夏に本帰国したのですね。S.Oさんも近所の公立の小学校に通ったのですか?

S.O はい。アメリカの現地校では、宿題が全く出なかったので、毎日宿題が出ることにまず驚きました。また、体育の時間に体操着に着替えること、昼休みに掃除があることがカルチャーショックでした。現地校では体育の授業も私服のまま参加するんです。女の子もスカートやワンピースで走り回ったり(笑)。また、専属のスタッフの方が放課後に掃除をすることが当たり前だったので、「日本では自分達で掃除をするの!?」と、とても驚きました。

Question 欧米圏では掃除する人がいるから、その仕事を奪わないために生徒は掃除をしない、そんな話を聞いたことがありますが、実際そうなのでしょうね。英語の資格試験は受けましたか?

S.O はい、小学3年生の時に1回だけ、英検2級を受けました。

桐蔭学園中等教育学校 入学時を振り返って

Question 続いては、約1年前の入学時のことを思い出してもらおうと思います。友達はできるかな、勉強はついていけるかなと多少不安はあったと思いますが、実際に入学してどうでしたか?

R.I 想像以上にとても楽しかったです。桐蔭学園中等教育学校は、小学校からの内部進学生と僕のような中学からの外部進学生がいます。全体の3割ぐらいが内進生。だからそこに馴染めるかなと少し不安だったのですが、内進生が積極的に声をかけてくれてすぐに友達になりました。また、僕から話しかけた時にも、とてもフレンドリーに返してくれる同級生ばかりで、入学して1カ月後には気づいたら本当にたくさんの友達ができていました。

Question よかったですね。ドイツ仕込みのコミュニケーション力も役に立ったのかな(笑)。R.Iさんはハンドボール部ですよね。目標はありますか?

R.I はい。ハンドボール部に入ったことで毎日がとても楽しいです!大変な時もありますが、僕たちの代で全国大会に出ることを目標に練習や試合を頑張っています。これから入学する後輩にもぜひ、ハンドボール部に入部してほしいですね(笑)。

Question 素晴らしいです。期待していますね。それではS.Oさんにもお聞きします。入学してどうでしたか?入学前に想像していたことと違いはありましたか?

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S.O 私も桐蔭学園小学校から進学してくる子がいる中で、うまく馴染めるか不安でした。
私は、その場の雰囲気にのまれてしまうタイプなので、入学初日にクラスに入った時の、しーんとした空気にとても緊張したのを覚えています。内進生はもともとの友達とおしゃべりをしていたのですが、他の子達は席に座って誰とも話をしていなくて…。
少し時間がたつと、周りに話しかける人も増えてきて、そこからは私も周りと打ち解け、友達になっていきました。多分、みんな私と同じように緊張していたんでしょうね。

Question そうだと思いますね。徐々に和やかになっていったようで何よりです。S.Oさんは生物部所属ということで、部活ではどのようなことをしているのですか?

S.O 生物部には金魚やカブトムシにうさぎなど、色々な生き物がいるので、そうした動物のお世話や、生物に関連した研究や観察です。桐蔭学園の文化祭にあたる「鸞鳳祭(らんほうさい)」に向けての準備や長期休みの合宿などもあります。

Question 色々活動しているのですね。先輩方は厳しいですか?

S.O いえ、先輩はとても優しくて、最初なにもわからなかった私に一つずつ丁寧に説明してくれました。私にとって先輩というものが初めての存在で、初めは緊張していたのですが、今ではとても優しいお姉さんのような存在で仲良くさせてもらっています。

Question 良かったです。後輩たちにも優しくしてくださいね(笑)。

桐蔭学園中等教育学校の学び

Question それでは勉強の話を詳しく聞いていきましょう。まずは英語の授業から教えてもらいましょうか。では続けてS.Oさんに聞きますね。桐蔭学園の英語の授業はどうですか?楽しいですか?

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S.O はい!特にネイティブの先生が授業の余談として披露してくれる様々なトピックで、クラスが盛り上がっている時がとても楽しいです。私は帰国生クラスに所属しているので、オールイングリッシュで一般のクラスよりもさらに1歩踏み込んだ内容を学ぶことができるのも、楽しさの理由かもしれません。

Question なるほど。R.Iさんは英語の授業はどうですか?楽しいですか?

R.I 僕も英語の帰国生クラスに所属しています。毎日ネイティブの先生からオールイングリッシュの授業を受けているので、英語力を維持するには良い環境だなと思っています。

◆英語の帰国生クラス◆
生活単位であるホームルームは帰国生、一般生、桐蔭学園小学校出身者は混合です。帰国生の英語の取り出し授業については2年次までとなります。その後は一般生と共に習熟度別授業で、自分のレベルに合ったクラスで授業を受けるようになります。アフタースクールでは様々な英語プログラムを用意しています。ネイティブ教員が常駐するグローバルラウンジも大いに活用してほしいと思います。

Question 続けてR.Iさん、桐蔭学園と言えば、アクティブラーニング型授業というイメージなのですが、どういう風に授業が進むのか、好きな歴史の授業を例にして説明してもらえますか?

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R.I 歴史の授業では、穴埋めのプリントが渡されて、まずは自分で記入していきます。その後は、生徒同士でペアになって自分だけでは埋められなかった部分を、話し合いながら埋めていく。そうしたペアワークによって、自分の学びを深めていく方法が授業の進め方として多いです。
班になって意見を出し合ったりもします。ただし、コロナ禍のため複数人が近くで集まって相談するのが難しく、iPadに入っている学習支援アプリを使ってグループワークや発表内容の共有をすることも多いですね。

Question  「ふり返りシート」というツールもあるそうですが、どういったものですか?

S.O 教科にもよりますが、ふり返りシートは「今日習った内容やポイント、自分が大事だと思ったこと、他の生徒が出した意見についてどう思ったか」などを書いて先生に提出するものです。

Question 最後に自分の中に落とし込むのは大事ですよね。S.Oさん、桐蔭学園のアクティブラーニング型授業は自分に合っていますか?楽しいですか?

S.O 私は、先生の話を聞いてただノートをとるだけの受け身な授業が嫌いで、正直なところ退屈だなと感じます(笑)。だから、パートナーと話し合って進めていくアクティブラーニング型授業は楽しいなと思います。

◆「個⇒協働⇒個」で学びを深めるアクティブラーニング型授業◆
「わかったつもり」から「わかった」へ。桐蔭学園では2015年度から「アクティブラーニング型授業」を導入しています。授業がどのように行われているか、標準的な流れはこちらからご確認ください

Question 次にキャリア教育の一環で行っている「1分間スピーチ」について教えてください。朝のホームルームなどで決まったテーマについて一人ずつスピーチするのですよね。S.Oさんはどんなことを話したのですか?テーマと話した内容を一つ教えてください。

S.O 初めての「1分間スピーチ」は、自分が部活に入ってやりたいこと、どんな部活に入りたいか、という内容でした。自画自賛になってしまいますが、その時はうまく発表できたなと思います(笑)。
最近のテーマは「遠足で行きたい場所や具体的な内容」です。まだ私の順番は来ていないので、何を話そうか考えているところです。1分間というと短いように思えて、実際に話してみると意外と長いので、内容を考えるのに頭を使います。しかし実際に発表した時、みんなのうなずきなど、反応を目の前で感じられるのはとても嬉しいです。

Question 緊張すると思いますが、いい経験ですね。それではR.Iさんも一つ教えてください。

R.I 僕も周りの反応がダイレクトに感じられるのが楽しいですね。部活仲間がうなずいてくれたりすると、気分がのっていきます(笑)。また、1分間スピーチを聞いた人が感想などを書いてくれるコメントシートを後で読むと、発表をして良かったなと思えます。

Question 自分の番ではなくても、クラスメイトのスピーチを聞くのも面白いでしょうね。発表者にはクラス全員からのコメントシートが届くというのも粋ですよね。

◆1分間スピーチ◆
朝のホームルームなどでは、学校生活の伝達事項の他に、生徒による1分間スピーチの時間があります。テーマは時々によって変わりますが、毎日1人ずつテーマに沿った話をします。テーマの例は「将来の夢」「いま一番夢中になっていること」「わたしの宝物」などです。「傾聴」と「承認」が生徒の自己肯定感を醸成しています。桐蔭のキャリア教育についてはこちらからご確認ください

中学入試について

Question それでは最後に中学入試のことを思い出してもらいましょう。S.Oさん、受験校はどのように決めましたか?

S.O 高校受験のない中高一貫校をポイントに選びました。さらに欲を言えば、大学受験もないと良いなと(笑)。それを念頭に受験校を決めました。私はもともと勉強があまり得意ではなく、大きな試験では体調に影響が出るほど緊張するところもあるので、できるだけ試験の回数を減らしたかったんです。

Question なるほど。あとは受験科目の問題もありますよね。桐蔭学園の入試は2科目入試ですか?

S.O はい。帰国生入試ではなく、一般入試の国語と算数で受験しました。他校で帰国生枠での受験も考えたのですが、大体帰国後2年以内という出願条件の学校が多く、小学4年生の時に帰国した私は当てはまりませんでした。

Question 後輩たちに、受験準備のアドバイスがあればお願いします。

S.O 一番大事なのは、当たり前ですがしっかり勉強をしておこうということです。小学4年生ぐらいからきちんと勉強をしておくと、小学6年生になってからバタバタしません。まだ先だからと手を抜かず目の前の勉強に取り組みましょう、と後輩には伝えたいですね。

Question ありがとうございます。R.Iさんにも聞きましょう。学校選びのポイントは何でしたか?

R.I そうですね…。僕はスポーツが大好きなので、正直に言うと部活でスポーツをがむしゃらにできたらという考えが第一でした(笑)。加えて勉強もしっかりできて英語の取り出し授業がある学校。そう考えていたら、親が「じゃあ、桐蔭じゃない?」とすすめてくれて、受験を決めました。

Question 桐蔭学園の英語は2年生まで帰国生クラスがあるから良かったですね。入試は帰国生入試の英語・算数の2科目入試を受けたけど、残念ながら落ちてしまったと聞きました。ただ、その後一般入試で頑張って合格したのですよね。やり切りましたね!素晴らしい。それでは経験に基づいた、後輩たちへの受験準備のアドバイスをお願いします。

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R.I 帰国生入試で不合格になった後、「残り1カ月を必死に勉強して乗り越えれば、楽しい6年間が待っている」と自分に言い聞かせて、とにかく勉強をしました。その結果、合格することができ、とても良い経験になりました。実際に入学したら、部活はとても楽しいし、良い友達もできて、あの努力は間違っていなかったなと思っています(笑)。
正直なところ、僕は小学5年生から受験勉強を始めたのですが、それまでは現地のインター校だったこともあり、日本の勉強でいうと小学2年生レベルの頭でした(苦笑)。だから、S.Oさんも言っていたように、せめて小学4年生からちゃんと準備を始めておけばもっと楽だったと思います。実際の受験まで1年ちょっとだと、特に帰国生の場合はしんどい。早めの受験勉強はとても大切です。
ただ、僕みたいに、小学5年生から始めても、死ぬ気で頑張れば、受験は大丈夫とも伝えたいですかね。本当に大変だけど(笑)。努力は必ず報われるので、皆さんも諦めずに努力し続けてください。

Question ありがとうございます。大変役に立つメッセージでした。それでは最後に、ご自身の今後の進路や目標について教えてください。留学など考えていますか?

R.I まだ具体的には考えられてはいないのですが、両親が留学を経験していて「とても楽しいよ!」と話してくれるので、気になってはいます。もう海外はよいかなという気持ちもあるのですが、高校や大学の年での海外生活はまた違うと思うので。
具体的な目標としては、ハンドボールに強い大学に入りたいですね。だからまずは桐蔭学園でハンドボールを頑張ることにフォーカスしています(笑)。

S.O 私も具体的に留学をするかどうかは未定ですが、アメリカの生活がとても楽しかったので、また別の国を経験するのも良さそうだな、と少し気になっています。またこれもぼんやりとしたものですが、将来の夢として教師になりたいなと考えています。個人の意見として、先生は家庭の次に子どもに影響を与える存在だと思っていて、とても素敵な職業ですよね。だからこそ、様々な子どもと関わり、将来や考え方を広げてあげられる先生の一員になってみたいです。

Question 素敵な目標ですね。海外経験もあるし、きっといろんな視点から生徒さんと関わる先生になれると思います。それでは本日の取材は以上となります。ご協力ありがとうございました。

◆桐蔭学園中等教育学校 帰国生入試◆
2023年度入試についてはこちらのページをごらんください。