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閉塞経済―金融資本主義のゆくえ (ちくま新書 (729))

筑摩書房
¥ 714
平均評価:

購入者の感想です

前半は見事、しかし後半は.....(2008-08-09)

そういう意味では、大風呂敷を広げすぎなのでしょう。新しい経済学の呈示や現在の危機への答えはここにはありません。そんなものを現在の経済学者に期待するのは愚者の行為です。ここにあるのは経済学への断罪です。現代のというより新古典派以来の経済学のアプローチやモデルが本質的に内在させている仕組みや考え方そのものが、問題を作り出し、増幅させ、問題の解決を妨げる桎梏となっている状況がこれでもかと例示されます。経済学は科学の「装い」をまとったドグマや呪文(voodoo science)なのです。しかし、ただのドグマも精緻に制度化され、信者がこれだけ多くなるとそれを無視しては、社会は進みません。ドグマや呪文の創造的な解釈や修正も、大枠を踏み外さない中で行われ実験(ゲームの理論やインセンティヴ論)に移される限りは、その存在は許されその失敗も許容されますが、経済学の本質(王様は裸だ)自体を暴露してしまう異端は、決して許されません。著者が繰り返し指摘する新古典派とマルクス主義との驚くべき相似形も振り返ってみるとそのとおりです。前者は「市場の自由」に任せれば国家の介入のない永遠の千年王国が誕生するという呪文で、後者は、史的唯物論の下では、歴史の法則は前もって決められているので、労働者は何もしなくてもその先には国家・階級のない社会が待ち受けているという解釈もありうるわけですから。両方共に呪文なんです。戦前は、後者のドグマのお勉強にドイツ語の辞書を片手に専心し、戦後は、アメリカの洗脳プログラムの下でアメリカに留学したというわけです。どちらも、分析の道具やアプローチの背後に隠れて潜む「驚くべきキリスト教的世界観」の異質さに気付くことはなく、日本の制度の背後に潜む歴史的現実の綾を考えることなく、大きな社会的な実験に「幼児」のように熱中してきたのが、日本の「エリート」というわけです。結果として生まれた日本の現実が、どうしようもない矛盾をはらみ、多数の「無知な」日本人に取り返しのつかない被害(戦前は大東亜共栄圏、戦後は構造改革、の後の焼け野原)を与えることになるというのは、日本の宿命なのでしょうか。

サブプライムの答えに全然なってない(2008-08-04)

 著者はサブプライム問題や日本のバブルの分析をして、「これまでの経済学では解決できない」と大上段に構えてるんですけど(結構他者を批判して)、最後にその解決策として新しい経済理論を出すのでもなく、教育を充実させよう、環境ビジネスを中心にやっていこう、国民年金の問題を解決しようなどという、すごく個別の、ちょっとちんぷんかんぷんな方向の話で終わってしまっています。それぞれの主張はいいと思うんですけど、最初の命題に対しての答えにはなってないと思うんだけどなあ。前半と後半が全然つながってないんですよね。
 
 文章も重なってる部分が多くて、編集者の人もちゃんと仕事をやってなくて、新書だからってすぐに本にしちゃった感じ。ちくま新書は割としっかりしたものが多いのに非常に残念。
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