小難しさなど微塵もない、簡潔、明朗で伸びやかな詩の数々(2008-04-15)

同じ文藝春秋から、「教科書でおぼえた名詩」(文春文庫+PLUS)というほぼ同コンセプトの本が出ていて、当方は先にそちらを読んで大いに感銘を受け、個人的には2007年に読んだ本のNo.1に推すほどでした。やはり詩はオムニバスで読むに限る、と思った次第です(万葉集や古今和歌集だってオムニバスでしょ?)。
鹿島茂氏のセレクトによる本書は、前掲書と重複する詩も何編かありますが、さほど気にならず、むしろ著者の選択眼で選ばれた詩の中に新鮮な感動を与えてくれるものがいくつかありました。
例えば、「道程」で有名な高村光太郎には、時折知的な気負いが鼻につく印象があったのですが、本書に選ばれている「牛」という詩は、この高貴な生き物の叡智と生命力を見事に描き出していて心を打たれます。他にも丸山薫、千家元麿、河井酔茗、福士幸次郎といった、ともすれば忘れられがちな詩人の作品が選ばれており、伸び伸びと自然を詠った詩には深い愛着をおぼえずにはいられません。
分量的にも通勤電車の片道で読み通せてしまうほどの本書ですが、気に入った詩に印を付けて何度も熟読玩味することで、感動を深めている私です。いい詩集を読みたいが、一人の詩人の作品集を読み通すのは重た過ぎるし、何から手を付けていいかわからないという人には、冒頭にあげた文庫本とあわせて本書をお薦めする次第です。
今こそ詩の世界を(2008-03-09)

団塊の世代が中学生だった昭和30‾40年代の国語教科書に掲載された詩の選集。。。というと
団塊の世代以下にはピンとこないかもしれないと思うなら、それは間違いである。団塊の世代が
これらの詩句を「彼ら」が読んだのは子供の頃だったのだから、今、僕らが読んでもいいのだ
昭和30年代〜40年代の教科書に掲載された詩、ということはほとんどが戦前にしたためられた
詩句であり、一言一言を読み進めば戦後、自分たちがどれほど言葉の輝きを疎かにしてきたかが
ありありとして分かる。決して読み解くに困難な詩は並んでいない。しかし、「詩=難解」と
いう世代(僕ら)〜「詩=難解」という誤解さえも与えられていない世代(僕ら以後)にとって
ここに並んだ詩は、むしろ未知であり未来のように思える。もちろん再びこれらの詩になった
言葉、詩の源泉たる世界が復興されることはないだろう。それでも再び言葉を慈しむ世界を
作り出したいと試みる者、願う者が現れることを夢見る
本書を読まれた方は、同じ詩句を掲載し、心地良く解説してくれている高田敏子の名著
「詩の世界」を併読されたし。言葉の使い方が変わるような二冊である