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ヴィクトリア女王―大英帝国の“戦う女王” (中公新書)

中央公論新社
¥ 903
平均評価:

購入者の感想です

こんな良書が出せるのなら……(2008-01-31)

英近代史を学ぶには必読の本。入門者はおろか、痒いところにも手が届く作りは、研究者にも有益だろう。

本来ならば5つ星確定だが、残念ながら星をひとつ損している。
理由は、私が中央公論新社が嫌い(とくに昨今の編集方針)だからだ。
中央公論新社には、かつてのような気骨のある本を出していただきたいものである(言っても無駄か?)。

19世紀欧州史はもちろん現代英王室の理解にも資するお薦めの一冊(2007-12-21)

ヴィクトリア女王の時代といえば英国の全盛期で、選挙権の拡大、政党政治の確立と偉大な首相を擁したこと等を世界史で習ったことしかなかったが、64年の治世の間に政治面・王室内ともに様々なことがあったことを本書は教えてくれる。一番興味深かったのは、夫の死後スコットランドのパルモラル城等に長期間滞在してロンドンに姿を現さず、新聞・雑誌に影響される世論が女王に批判的になり、王室不要論まで出たこと。まるで映画「クィーン」と同じではないか。パルモラル城に滞在して内政・外交について思索を巡らす場面、女王が組閣の大命を下す場面、首相等との駆け引き、ロンドンに姿を現すとたちまち世論を味方につける様子等、「クィーン」を観た人は似た場面を思い出しながら、観ていない人は事前の知識として、本書を楽しむことができよう。同じことは映画「麦の穂を揺らす風」の前奏曲となったアイルランド政策についても言える。また、女王がインド「帝国」創設にこだわった理由は欧州における「皇帝」の持つ意味合いを知る人には納得がいくことだろう。歴史が女王に流れ込み、そこからまた新たに展開したように私には思えた。

女王はまた、英国を大国たらしめるために、欧州では台頭する独、露の増長を警戒しつつ安定に努める一方、欧州外では植民地獲得に積極でありつつも、植民地が大英帝国を支えていることに自覚的であった。長年ライバル視してきたビスマルクとの晩年の交流等、心に染みるいい話も多い。そして、母、祖母、曾祖母として夫亡き後の40年間王室を牽引し、欧州の主な王室と縁戚関係を結ぶことにも巧みであった。本書は日誌や手紙・電報から女王の肉声をふんだんに盛り込んで英国の黄金時代を築いた女王の事跡をほとんど漏れなく紹介してくれる一級の書物である。

中公新書らしい(2007-12-17)

女王の一生を描いた良書。学者であるにもかかわらず、物語(とまではいかないまでも)のような平易な文章を書けるのも、実力のうちだろう。
この時代のイギリスの状況やヨーロッパの国家間関係もよくわかる。
ワケの分からない新書が横行するなかで、かなり充実した内容。
さすが中公、といったところか。。

面白いんだけど人名表記が・・・(2007-12-12)

 中堅のイギリス史学者によるヴィクトリア女王の伝記。近代イギリスの議会政治の裏事情を豊富な文献資料から面白おかしく読み解く手腕は著者の師匠の青木康譲りか。平明な文体ですらすら読めるし、著述内容にもまず間違いはないという安心感がある。お話そのものも、下手な西洋史ものの小説より、余程面白い。

 ただし一つだけ気になる点が。人名の表記法が一定しないのである。ある者は爵位で呼ばれ(ウェリントン公、ダービ伯)、別の者は爵位を持っているのに本名で呼ばれ(ウィリアム・ピット)、さらには爵位を省略して呼ばれる者(パーマストン子爵→パーマストン、メルボルン子爵→メルバーン)まで居るのだ。これには日本のイギリス史研究特有の事情もあって、有名人の呼び方にはそれぞれ長年の慣例があり、イギリス史研究者はそれに親しみきっている為、つい、一般の読者もわかっているはずという前提で考えてしまうのである。しかし、実際はそんなわけもないのであって、本名(爵位)形式で統一するとか、あるいはせめて爵位の略称は使わないとか、もう少し統一性を持たせて欲しかった。「スタンリー」「ダービー」をそれぞれ「スタンリ」「ダービ」と書いたり、「メルボルン子爵」と呼ばれることが多いウィリアム・ラムを「メルバーン」と書くのも、著者には何か拘りがあるのかもしれないが、読み手にとっては不親切ではないだろうか。

在位64年という重み(2007-12-05)

「太陽の沈まない帝国」と呼ばれた
19世紀のイギリスの王位にあった女王、ヴィクトリア。
彼女の君主としての統治、
特に外交関係にスポットをあてて描かれた本。

たった18歳で即位し、64年間も王位にあった女王。
本書で描かれる女王は、外交、特に戦争や植民地支配について
かなり積極的に干渉し、議会の人事にも目を光らせています。
そもそも女王が即位するときから、順風満帆とはいいがたく
在位中も何度も危機はあり、
王室不要論までもちあがったときもありました。
議会は思うようにならず、信頼できる夫にも先立たれ
息子は頼りにならない。
不安な道のりを歩き続けた女王は、
その年月によって人々に惜しまれる女王となり、この世を去りました。

非凡な人だったと思うし、非凡な努力をされたと思います。
同じくらい、年月を重ねることの重みを感じさせる生涯のお話でした。
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