ですので、たとえば「マンダラ型国家」とか O. W. Wolters が提示した学術的概念が大手を振ってこの本に登場しているわけです。断っておきますが著者が繰り返し唱えている「大マンダラ」「中マンダラ」なる概念はそういった「マンダラ」が存在していた時代には存在しなかった概念ですから。もう一つ例を挙げておきますと、サリットをスコータイ時代の「ポークン」にたとえてみる見方も明らかにタック・チャルームティアロンの『タイ―独裁的温情主義の政治』の受け売りです。この本は一次史料よりもこういった学者達の作り上げた概念の上に成り立っている不思議な書物です。