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新書のご案内

世界の言語入門 (講談社現代新書 1959)

講談社
¥ 756
平均評価:

購入者の感想です

ちょっと気軽すぎるくらいに気軽な言語エッセイ(2008-10-31)

2ページで1言語ずつ、90に及ぶ言語を「黒田節」で紹介していく一冊。
アイスランド語から始まり、(著者の得意な)ロシア語で終わる。

といっても、2ページで1言語だから、それほど体系的なことは書けるわけもなく、著者のその言語に対する「一発ネタ集」といった趣だ。
著者が専門とする東欧諸語については非常に充実しているが、アジア系言語になると、
「わからないのでちょっと調べてみたら・・・」
なんて記述が多くなり、大丈夫か、と思ってしまったりも。

それでも私のような言語好きには十分面白いのだが、そうでない人には果たして面白いのか、ちょっとなんとも言えない。

ただ、世界各国にこんなにたくさんの、しかも多種多様な言語があるということを知るだけでも十分価値があるのではないだろうか。
著者の文章も軽妙で、とても読みやすい。

ちなみに、別の新書で同様の企画があった(『世界言語地図』新潮新書)。
流行のテーマなのだろうか?

文字の例があるともっと面白かったかも(2008-10-14)

世界のいろいろな言語に興味があるので購入しました。
エッセイとしてはとっても面白く、特に著者のスラブ系の言語とコサ語への愛を強く感じました。一方、それほど「得意でない」言語やスラブ系言語以外の有力な言語などは、見開き2ページの最後のほうが余っているようで、「ちょっと、なんかな〜」という感じがしました。

折角、普通の人が一生見聞きすることのないであろう言語を取り上げているのだから、文字やフレーズの例があれば、もっと「世界の広さ」や「言語の種類の多さ」を実感できたのではないでしょうか。

もう少し、情報が欲しい気がしたので、★3つ。

著者の言語知識にびっくり(2008-10-12)

各言語と自身のかかわりを中心に、一人で語りきる言語エッセイ。さすがに90言語全部を学んだという訳ではないが、著者が知ってる言語の多さにびっくりする。専門とはいえ、格変化が発狂しそうな難しさのスラブ言語はもちろん、スワヒリ語、朝鮮語も知るこのすごさ。そして、当該言語のファーストインプレッションに「あるある〜」と共感したり(例えばポルトガル語「ボサノヴァを聞いてるうちに意味が分からないまま歌詞を耳コピ」とか、トルコ語「ドイツで同じケバブ屋台に何度も足を運ぶうち、店員と顔見知りに」とか)、エッセイでいて、言語の核心を突く話題(専門家をしてポーランド語で「このパンの性別はなんだろう」と考えてしまう。多くの印欧語を学ぶと必ず頭を抱える。ラテン語の「水」の綴りによく似た、リトアニア語の文字の商品を飲んだら「酢」だったとか)。「母語の日本語はどうかな」と思ったが、サハリンの残留コリアンが主役。いい意味で予想を裏切られた。

しかし、のっけから「何も知らない」「調べないと何も書けない」という言語が結構多い…概説書読まないと書けないって、中学生じゃないんだから。そういう言語の場合、「話者の数は…」「言語学的には…」を書いて終わり!!みたいな内容が多い。エッセイ的な面白みもないし、概説書読めばいいじゃんみたいな感じで、「90」という数字ありきな気がする。何も知らない言語は手を出さず、むしろ、既知の言語を深く書いた方がよかったんじゃないかと。

大言語や著者の専門だからと言って、やけに詳しく書かれているわけでもなく、あえてあっさり感。扱いはすべて平等で、先入観をなくす努力も感じた。意外なほど楽しんで読める。

言語っておもしろそうだな、ということが分かれば十分(2008-10-12)


 かつて東京工業大学の教官をつとめ、言語学関係の興味深くも平易な著作を物してきた黒田龍之介氏の最新作です。
 専門のロシア語を含めて様々な外国語をかじってきた経験を活かし、今回氏は世界の90言語をピックアップし、その特徴を氏自身のユニークな経験談をまじえて紹介しています。必ずしも氏が学んだことのない言語も含まれていますが、そうした言語については既存の文献に付け焼刃的にあたって綴ったことを正直に吐露しています。それでも十分面白く読みました。

 私が黒田氏の書くものを必ずといっていいほど手にすることにしているのは、必ずしも極めるというほどではないにしても、世界中の様々な言語をかじったり眺めたりするのが好きで生きてきたという共通のバックグラウンドが氏と私との間にあるからでしょう。
 読めもしないけれど絵画を鑑賞するときのように独特の美しさを感じさせる文字。
 真似することはかなわないけれども聞くだに耳に心地よい音声。
 そしてなんといってもそうした言葉を話す異国の人々との、魅力的な交流。
 そうした魅惑的な体験が、言語を学ぶことによってこの身に訪れることを、氏の著作物は常に教えてくれるのです。

 今回の書でも、言語学の専門家の顔と同時に、単なる語学好きの徒というアマチュアっぽい顔もあわせてかいまみせる文章が綴られていて、言語のそばにいることに無上の喜びを感じる読者にはたまらない一冊になっているのではないでしょうか。

*誤りだと思われる箇所がひとつあります。ロシア語にはぴったりのものがなければ近いもので代用するという意味のことわざに「魚がいなければザリガニだって魚」というのがあり、それは日本語では「鳥なき里の蝙蝠(こうもり)」がそれに相当すると著者は書いています。(102頁)
 しかし、「鳥なき里の蝙蝠」は、大辞林には「すぐれた者のいない所では、つまらない者が威張ることのたとえ」とあります。

語学大好き人間の真髄(2008-09-27)

 黒田氏の経験や考えを通じた、東西の言語についてのエッセイが縦横無尽に展開する一冊。「語学」というよりも「言語学」に足を突っ込んでおり、やや専門的な内容も含まれるが、一般の読者にも十分理解できる書き方である。 
 「アイヌ語には四人称がある」「リトアニア語は印欧語のもっとも古い形をとどめている」「グルジア語は能格言語である」「現在でもインドにはサンスクリット語を使う人がいる」など、言語学徒ならニヤリとする点も多い。そしてまた黒田氏の経験や、ユーモアあふれる筆致には言語学徒でもない人もニヤリとさせられるだろう。
 しかしまた何より、その飽くなき語学への探求心は頭が下がる。自分も一つでも多くの言語に触れてみようという気になる。
 語学・言語学が専門の人もそうでない人も飽きずに読める刺激にあふれた一冊である。
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