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2006年01月11日
2006年度 海外・帰国生大学入試ガイダンス その1
今週から「海外・帰国生大学入試ガイダンス」をお送りします。第1週目の今回は「入試準備」「受験校選定」「選考方法」についてです。
帰国枠大学入試は、日本の教育制度に基づく教育を受けられなかった生徒を対象に、日本国内の一般生とは別枠で実施されている入試です。中学入試や高校入試においても同様に帰国生入試が実施されていますが、多くの場合一般入試と同一の科目・問題を課し、国内生とほぼ同一基準で評価しようとしているのが現状です。一方、大学入試では一部の難関国立大学等を除いて一般入試とは別内容の入試で、別の尺度で評価します。言い換えれば、高校で学習する各教科の知識・理解を重視する日本の一般入試とは別次元のものです。したがって、入試に向けての準備も自ら異なります。
入試準備
帰国枠大学入試は、書類出願のみで判定する上智大学(比較文化)・国際基督教大学(9月入学)・関西学院大学(10月入学-書類選考)では、願書締切が4~5月で高校在学中に始まり、結果も5~8月に判明します。7月に筆記試験の行われる筑波大学も6月出願です。入試準備にはいくつか時間の必要なものがあるので、遅くとも1年前(アメリカの教育課程で11年生の後半)には、入試準備を始めましょう。準備とは、自分が進みたい学部・学科を考え、大学についての情報を集めることや、出願資格を確認することから始まります。
帰国枠大学入試は、国内生の一般入試と比べて倍率が低く、入試日程上数多くの併願が可能なため、十分な準備をせずに帰国する生徒も少なくはありません。しかし、それでは帰国後願書の入手や必要書類の手配等で時間や労力を費やすことになるため、入試対策に時間が思うほど割けません。まず、大学・学部選択に時間がかかります。帰国後、あるいは未卒業者の場合は一時帰国時に入試への準備として小論文の練習をしているうちに、自分の学びたいことが見えてくるということがよくあります。つまり、7、8月という私立大の願書を入手する時期に初めて学科が絞れてくる人も多いということです。さらに、その時期のオープンキャンパス参加などの大学調べも志望大学・学科決定に大きな役割を果たしますが、これには時間と労力がかかるものです。そして、出願の準備においても、推薦状などの書類の手配(海外とのやり取りが必要になるし、先方が夏休みだったりします)、願書の記入、志望理由書や活動報告書などの作成、受検料の納入、健康診断など、初めて体験することが目白押しです。さらにそれが一人平均4、5校に渡ります。入試に向けての勉強に専念しづらいのは明らかです。特に、AO(Admission’s Office)入試・自己推薦入試などでの受験も視野に入れる場合、出願に向けての書類作成が膨大な時間と労力を必要とすることを予め考慮に入れておくべきです。志望理由書だけでなく、活動報告書、特定のテーマに関する小論文など、作成書類は多岐に渡り、それぞれの分量が大きい上に合否を直接左右するので細心の注意が必要です。
また、国立大受験まで考えた場合、入試期間が7ヶ月と長期に渡ることもあるため、合格後の手続き(入学金・授業料等納付)期限をも含めたしっかりとしたスケジュールを、受験校選定の段階で作成しておくことも重要です。
さらに、卒業時期が5~7月でない高校に通っている人は、卒業見込みで受験して数ヶ月後の4月に大学に入学するのか、それとも翌年の受験とするのかを考えておかねばなりません。自分が進みたいと思う大学の、高校卒業後の期間に対する制限を調べておく必要があります。
帰国生の中には、一般大学受験の厳しさを聞いて、帰国枠入試を簡単であると考える人もいます。しかし、帰国枠入試でよく実施される小論文と英語の試験は、高校時代の知的体験が総合的に問われるもので、付け焼き刃では対応できません。また、受験生は特定の大学・学部に集中する傾向にあります。全体としての入試倍率は低いのですが、本誌記載の大学別データを見てもらえばわかるように、首都圏の人気大学・学科の競争は厳しくなっています。毎年、全国で約50大学200学部以上で出願者がいない一方で、一般大学受験並みの競争になる学科を持つ大学も存在します。さらに、高校での成績や統一試験において一定レベル以上の成果を求める大学もあり、短期間の入試準備だけでは思惑通りにいかない要素が非常に多くなります。特に、理系希望者は、滞在国と日本のカリキュラムや言語の違いが入試で障害となります。大学入学後の苦労を軽くするためにも文系以上の学習が必要となります。
受験校選定
受験大学・学科が本当に自分の関心から決められているかどうかは、入試での小論文と面接、さらに当然ですが合格・入学後の大学生活に大きな影響を及ぼします。しかし、どの学科に進むかを決めるのは、さほど簡単ではありません。学びたいことが明確である場合でも、それが本当に勉強できる大学を特定するのには、いろいろ調べなければなりません。特に、環境問題関連など従来の学部分類に合わない領域に関心がある場合や、「国際~」という広範な領域のどれを学びたいのか明確でない場合など、学科名だけで判断せずに、履修内容の確認が必要になります。学びたいことが明確でない場合には、それまでの学習や読書で触れたものの中で関心を惹かれたものが何であったか振り返り、それについて様々な人と話したり関連図書を読んだりしてみましょう。また、文章を書いて人に読んでもらうことも、自分の関心・適性に気づく良いきっかけになり得ます。繰り返しになりますが、それが大学出願の1年前には始まっているようにすべきです。
そうした入試準備のスタートの一つとして、願書の取り寄せを勧めます。入試日程や出願資格等は、大幅な変更が少ないので、入試前年のもので十分参考になります。本誌のような情報誌も当然参考になりますが、発行時期によってはまだ入試日程が確定していない大学もあり、入試前年の情報誌にはさらにその前年の情報が掲載されているものもあります。それゆえ、まず情報誌で自分が受験する可能性のありそうな大学を大まかに選び、その願書を大学に請求するのがよいでしょう。願書には大学案内が同封されることが多く、志望学部・学科の選定にも非常に役立ちます。
受験校選定には、入試日程も大きく関わってきます。どのようなスケジュールで受験をするかを可能な限り、本誌に記載されている出願資格等の一覧表を参考にして、考えてください。特に、卒業時期が夏でない人は、受験校数も限られますし、卒業試験等で受験できない学校もあります。早めのスケジュール立てが必要になります。
また、この数年、AO入試、自己推薦入試といった新たな形態の大学入試が広がっていて、帰国生の受験機会が広がったと考えることが出来ます。特に、帰国時期などの問題で帰国枠での受験資格が得られない大学・学部のある帰国生にとっては、受験スケジュールを大きく左右するものになっています。自分の資質や経験、勉強したいことを問われるという点で帰国枠入試と共通性がありますので、受験機会として生かせないか検討してみるのもよいでしょう。
選考方法
帰国枠大学入試の選考方法は、「各大学が実施する入試の成績」および「高校での成績・国家統一試験等の成績」の資料が基本になります。この資料をどの程度重視するかは、各大学・学部・学科で異なりますが、概ね以下の3タイプに分類できます。早めの準備が必要です。
(1)現地成績重視型
海外の成績を重視して選抜します。上智大学比較文化学部や国際基督教大学(秋入学)のように学科試験がなく、書類選考によってのみ選抜を行う大学です。そのため、国家統一試験についての要求も多く、一定以上の成績が必要となります。また、慶應義塾大学も、第一次選考が書類審査になっていて、ここで最終合否の大勢が決まるので、このタイプの大学と言えます。
(2)入試成績重視型
海外の教育制度や教育水準が多種多様であるので、各大学が実施する入学試験を重視して選抜します。立教大学のように国家統一試験の成績提出を不要としている大学です。また、上智大学(神学部・比較文化学部以外)のように学部学科別に出題する大学もこのタイプです。
(3)現地成績・入試成績折衷型
海外の成績をもとにした書類選考と、その後に各大学が実施する入学試験をもとに選抜します。東京大学、京都大学などです。このタイプの大学には、一橋大学や東京工業大学のように一般入試と同日程で、一部共通問題を課す大学もあります。
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