前回に引き続き、「海外・帰国生中学入試ガイダンス」をお送りします。最終週の今回は「学習アドバイス」です。
帰国中学受験に向けて、海外ではいったいどんな学習をすれば効果的なのか、過去問をどのようして手に入れ、いつまでに終了しておくべきか等々、具体的にその学習方法を考えると非常に難しいことがわかります。ここでは、いくつかのパターンを取り上げて解説します。
学習のポイント
第一志望校、そして第二志望校以下の受験校の入試スタイルを確認してください。帰国枠か一般入試か、入試科目はなにか、作文・面接試験はあるか、志望校群の入試科目に著しい隔たりはないか、帰国枠の入試問題のレベルは一般と比較して易しいのか、同レベルの難度なのか、などを確認してこれからの学習スケジュールを組み立てていく必要があります。
1) 帰国枠がなく、一般入試と同じあつかいの場合(多くは4教科入試)
2) 帰国枠はあるが、一般入試と同じ入試問題の場合(点数を若干考慮する)
率直に言って、地域に受験コースを持つ塾があればそこに通ったほうがよいでしょう。通常はそこで受験までのスケジュールが組まれているので、それにあわせて学習に集中し、実力を上げていくしかありません。定期的な志望校判定試験で自分の位置を確認しながら、国内の一般受験生と同レベルの質と量を確保した学習が必要です。
そういった塾がない地域でこのタイプの入試を受ける場合は、本人、ご家族ともにかなり強い意志が必要です。長期の休みには一時帰国して講習会などに積極的に参加し、普段は通信教育や参考書、問題集を使って自ら学習を進める以外に方法はありません。しかし一方では、過去問などもインターネットや日本の書店でたやすく手に入るので、意志さえ強くもって日々の学習に取り組めるならば、合格を勝ち取ることは不可能ではありません。ただし、受験までのスケジュールをしっかり立て管理実行することと、質問がある場合にすぐに質問できる環境は必要です。通信教育を利用することも良いですが、可能であれば学校の先生やご両親の協力を求めましょう。
3) 帰国枠があり、入試科目が国語・算数のみで一般とは試験内容が異なる場合
受験用の学習内容(算数の特殊算など)の基本的なことに集中して、その範囲を100%得点できるように繰り返し演習していくことが大切です。特に漢字や熟語、計算問題などでは確実に得点できるようになることが目標です。
4) 帰国枠があり、入試科目として国語・算数に加え、英語の試験がある場合
国語・算数は、上記3)と同様に学習してください。英語の試験の対策として、過去問が手に入ればその出題傾向に沿った学習が効果的ですが、英検やTOEFLを利用するのもよいでしょう。どちらも目標を定め、少しでもよい結果が出るように準備し、試験結果は願書提出の際、アピール材料として添付しましょう。
一般的に言って、現在身についている英語は口語英語ですから、文法や文章表現としての英語(正確なスペル、抽象概念の単語量など)の力をきちんとつけていく必要があります。まずはハイレベルな高校受験用の問題集などで文法事項をチェックするのも効果的です。ただし、中には英語よりも国語・算数に比重を置く学校もあるので、教科比重については各学校に直接確認しておくことが大切です。
5) 帰国枠があり、入試科目が英語(と英語エッセイ)のみの場合
主に現地校、国際校に通っている生徒が対象になります。英語の学習については、上記4)と同様に進めましょう。ただしこのケースでは、幅広い文章読解能力(Reading)と文章作成能力(Writing)が求められます。これまでの入試問題を見ると、文法の知識としても、語彙力としても英検準一級レベルの力が要求されています。その上で、英語エッセイなどの対策として、添削指導を受けていくことができればベストです。なお、このケースでは学校の成績も重視されることがあるので、学校の成績はストレートAを目指してがんばりましょう。
6) 帰国枠があり、入試科目が作文・面接のみの場合
合否の審査対象は学校成績になりますので、学校成績をできる限りよいものにしていく努力をしてください。スポーツチームに入る、ボランティア活動に参加するなど、学校以外の活動にも積極的に参加してください。その国でしか得られない経験や体験をたくさん積んで、その一つひとつについて自分の感想や意見、また、素直に感じたことなどを文章にしたり、ご両親にその経験を説明したりするなどの練習をしていきましょう。自分で考えたり、思ったりすることを言葉にして話す、書くという行為は想像以上に難しいものです。毎日少しずつ練習していくようにしてください。また、漢字の練習は毎日すること。漢字練習を通して日本語の語彙を増やしていくことが大切です。
7) その他、適性試験などの場合
このタイプの試験では、過去問が非公表になっているところが多く、その場合、具体的な問題の傾向に沿った対策をとることは不可能です。過去問がない場合には、具体的な学習の方向性が見えてこないために非常に不安になりますが、これは他の受験生も同じ条件です。
対策としては、
A. 国語・算数の基本的な学習をしっかり行う。
B. 学校での勉強に真剣に取り組む。
という2点です。現地校、国際校に通う生徒も学年相当の漢字や計算はできるようにしておきましょう。
大事なのは、その学齢(12歳)として持つべき「教養」を身に付けることです。「教養」とは、学科に限らず、困難に直面したときの行動力、未知に対しての対処方法などを導く下地になるものです。いわゆる暗記したり、公式を使って正答を導いたりするものとは異なる力ですが、それでもこの力の基礎となるのは、やはり学校で習っている事項です。これは自分の判断や考えを確立するための大本になりますから、決しておろそかにしないことです。また、日々の生活の中で、問題に直面したときに自らの頭で考え、判断し、処理していく習慣を身に付けているかどうかが問われます。
このように書くととても大変のようですが、実は海外で暮らし始めたときから、数多くの未知との遭遇を経験しているはずであり、海外で生活しているというだけで、すでにこういった訓練をかなり積んでいることになります。これからも、日々の海外生活で起きる問題に対して、積極的に対処していくように心がけてください。





